投資信託への投資は、プロが運用してくれると思いつつ気軽に投資をしては、失敗してしまいます。米国のインデックスファンドでさえ、過去は好成績でも今後の見通しは誰にもわかりません。
しかし、どういうわけか軽い気持ちで投資をしてしまう個人投資家が後を絶ちません。お金はそんなに粗末に使うものではありません。
株式投資を自分で実践するよりも、大手金融機関が運用してくれる投資信託で運用を選ぶのはわかります。
しかし、投資信託にはそれぞれテーマがあり、そのテーマに沿った運用が行われます。
そして、そのテーマは個人投資家が自分で選ばなければなりません。
つまりは、相当なマーケットの状況、景気見通し、トレンド(昨今ではAIや暗号通貨でした)を読む力がなければならないのです。
実は、非常に難易度の高い投資であることを認識しましょう。
そして、まさにトレンドが終わり基準価額の下落が止まらないとの声が止まない「デジタル・トランスフォーメーション株式ファンド(ゼロコンタクト)」について今回は分析してみようと思います。
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Contents
デジタル・トランスフォーメーション株式ファンド(ゼロコンタクト)とはどんな投資信託?
ファンドの概要
ファンド概要
商品分類:
- 単位型・ 追加型:追加型
- 投資対象 地域:内外
- 投資対象資産 (収益の源泉):株式
属性区分:
- 投資対象資産:その他資産 (投資信託証券 (株式 一般))
- 決算頻度:年1回
- 投資対象地域:グローバル (含む日本)
- 投資形態:ファミリー ファンド
- 為替ヘッジ:なし
ファミリーファンドでグローバル投資を行う投資ファンドであることは把握できました。詳細を見ていきましょう。
ファンドの特色:デジタル銘柄に特化した投資
投資対象はグローバルで、さらに生活や社会のデジタル化に 関連するビジネスを行なう企業の株式に投資を行ないます。
ファンドの愛称である「ゼロ・コンタクト」とは「非接触」を意味します。つまり、非接触型ビジネスを展開している企業への投資をするということになります。
Covid-19の影響でWork From Home(WFH)、リモートワーク、テレワークなど様々な言葉が生まれました。
また、米国や日本では政府による給付金のばら撒きが行われ、それに伴いデジタル決済企業が大いに活躍しました。
ゼロ・コンタクトファンドはつまりは、WFH銘柄やキャッシュアプリなどを事業とする会社への投資を中心に行っていくと理解できます。
DXは、「ITの浸透により、人々の生活をあらゆる面でより良く 変革させる」として、2000年初頭に提唱され始めた概念です。 DXの中でも、人との接触を避ける、いわゆる非接触(ゼロ・コン タクト)ニーズ*が高まりつつあることなどから、「ゼロ・コンタクト」 を当ファンドの愛称としています。
既にポートフォリオの中身はZoom Video Communications(ズーム)やROKUなどコロナ禍の株式相場で大人気だった銘柄が組み込まれているのではないか?
と筆者は不安になってしまっています。
上記の銘柄は2022年の下落相場で一番ダメージを受けた銘柄群です。既にゼロ・コンタクトファンドの下落がなぜここまで騒ぎになっているのかが想像できました。
では早速ポートフォリオの中身を見ていきましょう。最新2024年1月末までの構成上位銘柄の推移は以下となっています。
2024年6月末 | 2024年1月末 | 2023年7月末 | 2022年3月末 | 2022年11月末 | 2022年8月末 | 2022年5月末 | |
1 | COINBASE GLOBAL INC | COINBASE GLOBAL INC | COINBASE GLOBAL INC | SHOPIFY INC | ROKU INC | ROKU INC | ZOOM VIDEO |
2 | ROBLOX CORP | ROKU INC | ROKU INC | COINBASE GLOBAL INC | ZOOM VIDEO | ZOOM VIDEO COMMUNICATIONS-A | ROKU INC |
3 | ROBINHOOD | SHOPIFY INC | SHOPIFY INC | ROKU INC | SHOPIFY INC | BLOCK INC | COINBASE GLOBAL INC |
4 | ROKU | BLOCK INC | BLOCK INC | BLOCK INC | BLOCK INC | UNITY SOFTWARE INC | TWILIO INC - A |
5 | SHOPIFY | UNITY SOFTWARE | UNITY SOFTWARE | DRAFTKINGS INC | UNITY SOFTWARE INC | SHOPIFY INC | BLOCK INC |
6 | BLOCK | ZOOM VIDEO | DRAFTKINGS INC | ZOOM VIDEO | DRAFTKINGS INC | TWILIO INC | SHOPIFY INC |
7 | DRAFTKING | DRAFTKINGS INC | ZOOM VIDE | ROBLOX CORP | TWILIO INC - A | COINBASE GLOBAL INC | SEA LTD-ADR |
8 | PALANTIR | ROBLOX CORP | ROBLOX CORP | UNITY SOFTWARE INC | ROBLOX | ROBLOX | UNITY SOFTWARE INC |
9 | META | UIPATH INC | UIPATH INC | UIPATH INC | COINBASE GLOBAL INC | DRAFTKINGS INC | UIPATH INC |
10 | CROWDSTRIKE | TWILIO INC | TWILIO INC | TWILIO INC | UIPATH INC | UIPATH INC | DRAFTKINGS INC |
2024年7月末時点の構成上位銘柄の詳細は以下となります。
<Coinbaseの株価>
<ROKUの株価>
ゼロ・コンタクトのパフォーマンスが良いはずがありません。正直、2021年になる前に利益確定をしておくべきファンドです。
2022年以降に持っていて良いファンドではありません。
投資信託の販売会社はこのような商品を個人に売りつける点に嫌悪感を抱いてしまいます。しっかりとした商品説明が必要だと思います。非常に不親切です。
現在は相場の調子が悪いので、長期で考えれば必ず上がる、と考える投資家も後を絶ちません。
しかし、株式投資の世界はそんなに甘くなく一度大暴落を起こした銘柄は、一生這い上がってこないパターンの方が多いのです。
これは株式投資に長年取り組んでいる投資家であれば常識ですが、投資信託を購入する層の方々には実感するのは難しいのです。
本来は投信を販売する会社(今回は日興証券)が十分に危険な商品であると説明するべきだと思います。
ナスダック100にレバレッジをかける投信なども巷では流行っていますが、こちらも非常に不親切だと思います。
とにかく、売れるものを十分な説明なしで販売している日本の金融会社に違和感を覚えます。
最近はIFAなどが仕組み債などを販売して金融庁からお叱りを受けているようですが、個人投資家は堅実なファンドを選ぶ目が必要です。
または、派手なリターンを狙うのではなく、堅実なリターンを狙う投資先を選ぶべきです。
ファンドの特色:アーク社の調査力を活用
アーク(ARK)社の調査力を活用とのことで、つまりはイノベーションファンドと同様の運用をゼロコンタクトは行うということだと思います。
ARK社といえば、ファンドマネジャーのキャシー・ウッド氏が2020年の株式市場では沢山のメディアに取り沙汰されました。
ARK社は大きく5つのETFを運用しています。「ARKK」が旗艦ファンドですね。
ARK社が運用するファンド
- ARKK(ARK Innovation ETF)
「破壊的イノベーション」を生み出す企業へ投資。 - ARKW(ARK Next Generation Internet ETF)
AI、クラウドサービス関連企業への投資。 - ARKF(ARK Fintech Innovation ETF)
ブロックチェーンやフィンテック関連企業への投資。 - ARKQ(ARK Autonomous Technology & Robotics ETF)
ロボティクスや自動運転関連企業への投資。 - ARKG(ARK Genomic Revolution ETF)
ゲノムやバイオ関連企業への投資。
旗艦ファンドのARKKのリターンは以下となっています。2020年に一世を風靡したあとに2021年に天井をつけて2022年に入ってから暴落しています。
バブルで得たリターンを全て吐き出しマイナスに転じています。
典型的なバブルETFだったということです。ARKKとほぼ同じ銘柄で組成されているゼロコンタクトの成績が良いはずがありません。
2024年の中盤までは回復基調でしたが再び大きな下落に転じています。
Annual Total Return (%) History
Year | Return |
2023 | 99.64% |
2022 | -66.97% |
2021 | -23.38% |
2020 | +156.61% |
2019 | +35.73% |
2018 | +3.58% |
ETFで2020年の+156%というリターンは異次元ですね。当時はほぼ全ての個人投資家がARKKへの投資に夢中になりましたしキャシー氏は羨望の眼差しを送られていました。
しかし、ポートフォリオが成長株、イノベーション(つまりストーリー株)に偏っています。基本的には金融相場のみでリターンが大きくなるファンド構成となっています。
実際に2021年は-23.35%、2022年は年初来で▲60%超えとこれまで獲得してきたリターンを躊躇することなく吐き出してしまっています。
2023年に99%のリターンをだしていますが、チャートをみたらわかるとおり全然回復していません。
60%下落したものを回復するためには150%の上昇が必要です。全然、回復していません。
そもそも、このリターンは円安を含んでいるので銘柄選択によるリターンはさらに低くなります。
金融引き締め期に以上に弱いファンドであることがわかります。2018年も金融引き締めでした。
2019年は金融緩和でした。2020年はコロナショック起きるも、さらに驚天動地の金融緩和が起こされました。
そして、2022年〜2023年は金融引き締め期です。2024年になっても現在のインフレの高進を見る限り、金融引き締めが続いてしまう可能性があります。
ARKファンドにとっては冬の時代とも言えるでしょう。
そして、このARKファンドの助言を受け、ゼロコンタクトはポートフォリオを組成しますので、2022年以降もARKと共に冬の時代を迎えるのではないかと思います。
バブル相場や冬の時代などに影響されない投資先を選んでいくべきでしょう。
ゼロ・コンタクトファンドの手数料
アクティブファンドであり、ARKの助言も受けているのでインデックスファンドに比べると当然高くなります。
しかし、テーマは個人投資家が選ばなければならないので、その点は割高に感じますね。
ゼロ・コンタクトファンドの購入手数料は購入時の基準価額に対して3.3%(税込)、信託報酬が年率1.7985%(税込)となります。
ゼロ・コンタクトの基準価格チャート推移!パフォーマンス(運用実績)
まずは基準価額ですが、上記の通り大幅に下落しています。分配金込み基準価額で2020年に設定された10,000円から7,000円になっています。
そもそもなのですが、設定日が2020年7月31日となっており本当に新しいファンドです。パンデミックが収束に向かうと共に下落していくことが約束されていた投資信託ですね。
そもそもですが、2020年後半にワークフロムホーム銘柄は下落が始まっていたので、その時には手仕舞いしておきたいファンドでした。
設定してから半年で価値がなくなったファンドです。
上記でポートフォリオを見た通り、地獄絵図とも取れる株価チャートをした銘柄ばかりを保有しているファンドとなっています。
既に保有してしまっている方は苦しいですが早めに損切りした方が良いでしょう。
もしくは次の金融相場で別の銘柄でのハイリターンで取り返すかですが、その金融相場がもはや数年はきません。その間に他の魅力的な投資先への投資機会を失ってしまいます。
他投信も散々分析してきましたが、ゼロコンタクトはかなり厳しいです。しかし、わざわざ明らかに厳しいファンドに手を出す理由もないですよね。
ゼロ・コンタクトの掲示板での口コミや評判
あまり口コミ評判は本質的には重要ではないですが、一応軽くリサーチしてみました。
Yahoo Financeや5chの掲示板はいつも活発ですね。これらを参考にして投資をするのはやめましょう。
初心者が間違ったことを言い、間違った議論が行われている場所ですので、普通に資金を失います。
5ch
この数ヶ月上がったり下がったり下がったりでじわじわさがっている。5000円で最終決着を考えているようです。売出し6000円に対し最小限の下がり値と考えているようです。流石投信ワースト3位。コロナに便乗して買った人は諦めましょう。私はこれ以上の下がりを懸念して60%損で売却しました。クソー500万以上の損害だー。二度と銀行とは契約しないぞー!
キャシ−へのお願い、、、
もぅ、ガラクタ集めはしないで❗️
5年、10年先の期待や妄想は止めて現実に目を向けて、、、
あなたを信じて投資してる私達の事も考えて、、、🙇⤵️
またまた基準価額5000円割るのかな?なんとまや最悪の投信、こんな投信を何故購入してしまったのか、
キャシーにもうガラクタ集めはやめてくれと懇願していますが、そのガラクタ投信を購入してしまっている責任が自分にもありますね。
金融引き締め中に絶対に買ってはいけない投信なのです。
5ch
ここが又また下がっても(下がる下がる)そこから上がる⁉️見込みのないここを買っても意味ないかもですね。
手数料とられるだけだわ‼️
手数料を取られる上に基準価額も下落しますからね。機会損失だけでなく実損を被る投信といえるでしょう。
今後はどうなるか予想!気になる保有銘柄の株価やゼロコンタクト の見通しとは?
重要なのは今後の見通しです。現在、ゼロコンタクトが下落している理由は以下の2つによるものです。
そして、その2つとも今後悪化していくことが見込まれているのです。
暴落理由①:今後景気後退となることが見込まれている
米国は長らく続いた高インフレと高金利によって景気がいよいよ厳しくなってきています。
実際、失業率はいよいよ跳ね上がり始めました。失業率は上昇が開始すると急騰する傾向があります。
失業率が上昇し、人々の所得が減少すれば当然企業収益は低下します。企業収益が低下すると株価は下落していきます。
そして、さらに景気が悪い中でもインフレ率が低下せず高止まりするスタグフレーションになる可能性も出てきています。
スタグフレーションとなると1970年代のように株価が長期低迷となる可能性があるので要注意ですね。
暴落理由②:今後は円高となることも見込まれる
ゼロコンタクトは為替ヘッジはしていないので円高になれば基準価額は下落して、円安になれば基準価額は上昇します。
昨年は株価が大暴落するなかで急激に円安が進行したことである程度支えられました。(それでも大暴落していますが…)
ドル円は日米金利差に連動する形で推移しています。しかし、今後は以下の2つの要因で日米金利差が縮小していきます。
✔︎ 米景気後退による米金利の低下
✔︎ 日銀の利上げによる日本側の金利の上昇
実際、日米金利差の縮小によってドル円は162円から140円台前半まで一気に円高が進行しました。
そして、この傾向は今後も続いていきます。円安が追い風として作用していたのが一転して円高の逆風が吹き始めているのです。
相場環境に依拠せず安定して高いリターンが見込める投資先に投資して資産を増やしていきましょう。