ダブル・ブレインはMorning Starのファンド・オブ・ザ・イヤーのオルタナティブ型部門の最優秀ファンドとして選出された投資信託です。
そもそもオルタナティブ投資という言葉自体初めての方が多いのではないでしょうか?
オルタナティブ投資は株や債券といった伝統的な資産とは異なる動きをする資産を指します。
近年、ポートフォリオの安定性を保つ目的として機関投資家に重用されています。
ダブルブレインはまさにオルタナティブ投資的な運用を行うことを目的として野村アセットマネジメントが運用している投資信託です。
本日はダブルブレインがどのような投資信託なのか?
運用手法や成績からみて魅力的な投資信託なのか?という点についてお伝えしていきたいと思います。
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Contents
投資信託「ダブルブレイン」の特徴とは?
まずダブルブレインの特徴についてお伝えしていきたいと思います。
主にマン・ファンズIX-マン・インスティテューショナル・ ポートフォリオ・チタニウムに投資
ダブルブレインはファンドに投資をするファンドであるファンド・オブ・ファンズ形式で運用されています。
しかし、大半をマングループの参加であるAHLが運用するマン・ファンズIX-マン・インスティテューショナル・ ポートフォリオ・チタニウムに投資をしています。
マングループはロンドンに本社を置く世界的に有名なヘッジファンドです。
傘下のAHLは数学や物理学の博士号取得者が多く在籍する金融工学の専門者集団です。
金融テクノロジーによる資産運用を1987年から世界に先駆けて開始しています。
マン・ファンズIX-マン・インスティテューショナル・ ポートフォリオ・チタニウムは二つの戦略で運用しています。
それぞれの比率は以下の通りとなっています。
構成比率 | |
ターゲットリスク戦略 | 86% |
ダイバーシファイド戦略 | 14% |
運用手法①:リスクコントロール戦略
ダブルブレインは二つの戦略で運用されています。まずは1つめのターゲットリスク戦略についてお伝えしていきたいと思います。
ターゲットリスク戦略は、各投資対象を買い持ち(ロング)するポジションをとり、安定した収益の獲得を目標に運用を行ないます。運用にあたっては、各投資対象のボラティリティを考慮し、ポートフォリオ全体のリスク水準が一定の範囲内に収まるよう調整します。また、投資対象の下 落リスクを抑制する多数の独自の定量モデルを活用します。
リスクとは価格のブレ幅のことを指します。
「株式」「インフレ連動債」「クレジット」「債券」「コモディティ」に分散投資をしています。
ポジション | |
株式 | 74.1% |
インフレ連動債 | 46.0% |
社債 | 75.6% |
債券・金利 | 53.9% |
コモディティ | 28.6% |
各セクター別配分の推移は以下となります。合計100%を超えていることからレバレッジをかけて運用していることが分かりますね。
昨年ポジションを落としていましたが、今年に入ってからポジションを拡大させています。
ピンク色の期間に急にポジションが減少しているところはブレーキがかかっています。
- ブレーキ発動は10分毎に株と債券の価格動向を分析し、相関が高まり同時に下落する局面で発動します。
- ブレーキの発動タイミングが必ずしもファンドへプラスのパフォーマンスを与えるとは限りません。
過去からの月間リターンのをプロットしたものは以下となります。
下落幅を限定して安定しているとはいえ、トータルのリターンは低くなっています。
運用手法②:トレンド戦略
もう一つの戦略がトレンド戦略です。
ダイバーシファイド戦略は、各投資対象を売り持ち(ショート)または買い持ち(ロング)するポジションをとり、市場の上昇トレンドならびに下降トレンドの双方に追随し、絶対収益の獲得を目標に積極的な運用を行ないます。運用にあたっては、日々の価格データ等を勘案した多数の独自の定量モデルと24時間体制の取引システムを活用し各投資対象の相関、流動性およびボラティリティ等を考慮し、機動的かつシステマティックにポジションを調整します。
ダイバーシファイド戦略はいわゆるロングショート戦略というものです。
買うだけではなく、空売りを用いて下落相場も収益獲得を目指す運用を行います。
2024年7末時点の各資産のポジションは以下の通りとなっています。
セクター | ロング | ショート | ネット |
株式 | 76.3% | -7.9% | 68.4% |
通貨 | 130.2% | -130.2% | 0.00% |
クレジット | 40.9% | 0.0% | 40.9% |
債券・金利 | 32.4% | -96.3% | -63.9% |
コモディティ | 32.6% | -28.4% | 4.2% |
最初に分析した2022年2月末以降の各資産のポジションとネットポジションを比較したものが以下となります。
セクター | 2024年6月末 ネットポジション |
2024年2月末 ネットポジション |
2023年12月末 ネットポジション |
2023年6月末 ネットポジション |
2022年11月末 ネットポジション |
2022年7月末 ネットポジション |
2022年5月末 ネットポジション |
2022年2月末 ネットポジション |
株式 | 68.4% | 105.8% | 89.3% | 49.7% | 26.5% | -1.4% | -4.2% | 2.50% |
通貨 | 0.00% | 0.00% | 0.0% | 0.0% | 0.00% | 0.00% | 0.00% | 0.00% |
クレジット | 40.9% | 90.6% | 95.4% | 88.3% | 64.4% | -2.4% | -43.1% | -68.20% |
債券・金利 | -63.9% | -78.3% | 107.8% | -80.7% | -43.1% | -30.3% | -65.9% | -130.30% |
コモディティ | 4.2% | -24.5% | -7.0% | -2.6% | 17.4% | -17.6% | 5.3% | 66.30% |
直近、株式のロングポジション(買い持ちポジション)を少し減らしていますが以前として大きくロングでした。債券は一貫して売り込んでいますね。
(わかりにくいですが金利が上昇するというのは債券価格の下落、金利が下落するというのは債券価格の上昇を意味します。)
インフレ2波がきて今後も金利が上昇して債券価格が下落すると考えているわけですね。
しかし、この目論見は外れています。景気後退懸念で直近は金利がさがっていますからね。
このダイバーシファイド戦略はうまくワークしていますが、残念ながら全体の14%なので全体のリターンにそこまでインパクトはありません。
アクティブ型の中でも高い手数料形態
ダブルブレインはアクティブ型の投資信託の中でも以下の通り比較的高い手数料形態となっています。
- 購入手数料:3.3%(税込)
- 信託手数料:2.013%(税込)
ダブルブレインの運用実績!意外と下落している?
それでは肝心のダブルブレインのリターンについて見ていきましょう。
まずは基準価額からです。以下の通り2018年末から2021年末までに40%下落しましたが、その後2022年以降に15%程度下落しています。
2023年も殆ど回復せず現在の状況になっています。
1-3月期 | 4-6月期 | 7-9月期 | 10-12月期 | 1-12月期 | |
---|---|---|---|---|---|
2024年 | 5.70% | 0.08% | - | - | - |
2023年 | 0.01% | 2.24% | -1.85% | 3.42% | 3.79% |
2022年 | -2.81% | -8.15% | -2.78% | -1.15% | -14.21% |
2021年 | 1.79% | 5.62% | 2.82% | 1.99% | 12.74% |
2020年 | -3.41% | 0.60% | 2.33% | 4.03% | 3.44% |
2019年 | 7.71% | 5.39% | 4.24% | -0.07% | 18.25% |
円建の全世界株式と日経平均と比較したものが以下となります。
青色:ダブルブレイン
赤色:日経平均
緑色:全世界株式(円建)
黄色:eMMAXISバランス(4資産均等)
リターンとしては残念ながら最も低い形となっています。安全性が売りですが昨年からの下落は残念な結果といえるでしょう。
コラム:販売停止の理由とは?
ダブルブレインは兄弟ファンドのダブルブル(マイルド)やダブルブル(ブル)とともに販売停止となっています。
現在、ダブルブレインマイルド・ブル双方販売は停止されています。
「ダブル・ブレイン」「ダブル・ブレイン(マイルド)」に関し、2022年1月31日(月)15時以降、新規販売を停止いたします。また、「ダブル・ブレイン(ブル)」を含めた各コース間のスイッチングも停止いたします(「ダブル・ブレイン(ブル)」へのスイッチングは2021年11月30日(火)15時をもって停止しております)。
参照:ダブルブル説明ページ
販売停止の理由は、「流動性などを総合的に勘案した結果、運用資産規模を適正な範囲内に維持するため」としています。
つまりマングループ側が現在の運用を続けるためには、これ以上規模が大きくなると難しいからというわけですね。
クレジットや社債なども取り扱っていることが要因といえるでしょう。
掲示板での口コミや評判
ダブルブレインについての掲示板やウェブ上での口コミは以下となっています。
安全だと思って買ったのに資産を大きく失い怨嗟の声があふれています。
Yahoo finance②
ここはバランスファンドでリスクが少ないはずなのに、上げが弱く大きな下げがいくつか重なって戻りが遅いので投資する側からするとこれから数年間はリスクでしかない。下がってから戻ったとしても10年以上はかかりそう。
上がる気配がなく下がる方向なので損切りして現金にしてから、株価がもっと下落した時にS&Pを購入するのが安全で効果が大。
自身は既に9割を損切りして現金に。もう少し早くしておけばよかったがややホッとしている。
Yahoo finance②
ダブルブレインで大損
1000万円が半年で880万円に。
せめて元金まで戻したいがどれぐらい
(期間)かかりますかね?そもそも戻る?
販売停止についての不平も聞かれました。
Yahoo finance③
ダブルブレインコアなんて新商品作るより、なぜ積立追加購入を再開させないんだ?
価額が下がってる時に買い増し出来ないなんてダメダメファンド確定だね!
ダブルブレインの今後の見通しとは?
重要なのは今後の見通しです。
では、ダブルブレインの8割以上の比率を占めるターゲットリスク戦略のセクター別配分をもう一度見て見ましょう。
ポジション | |
株式 | 74.1% |
インフレ連動債 | 46.0% |
社債 | 75.6% |
債券・金利 | 53.9% |
コモディティ | 28.6% |
株式を強気に保有しています。しかし、これは正直危ない戦略といえます。
高金利を維持しているにも関わらず2023年から株価が上げすぎており過熱感が非常に高まっています。
そして、高金利と高インフレによって景気後退懸念がたかまり2024年7月にナスダック総合指数で10%を超える下落が発生しました。
ここからは株価は厳しい展開が想定されます。
そして、景気は後退するもののインフレは粘着するというスタグフレーションが懸念され始めています。
エネルギー価格が上昇したらインフレ2波確定となり、また2022年の下落を再度行うこととなります。
インフレが何度も津波のように押し寄せた1970年代と同じ推移をたどっておりインフレ再燃が懸念されるところです。
つまり、景気後退が発生するなかで相当長い期間金融引き締めは続けなかればいけないのです。
今後もしばらくは厳しい環境が続くと考えたほうがよいでしょう。
今と同じインフレが発生した1970年代は株式市場は10年間低迷しました。
低迷していますが、局面によっては基準価額が半減している時もあります。
今後、1970年代のよおうにインフレが何度も訪れる可能性も十分あります。今後10年は単純なインデックス投資は危険と考えた方がよいでしょう。
2021年に皆がインデックス投資をしだした時が天井だったのです。大衆が群がっているものに投資してリターンがよかった試しは歴史上一度もありません。
本来のヘッジファンドは下落を回避しながら安定したリターンをあげる
ダブルブレインはオルタナティブ型のファンドとして、株式市場には連動しない動きを実現できています。
しかし、リターンとしては不十分な水準で大きく資産を増やすには適していないと言わざるを得ないでしょう。
せっかくヘッジファンド型の運用に興味があるのでしたら、以下のような下落相場をマネージしながら株式市場よりも安定して高いリターンを出すファンドに投資したいところです。
実際、筆者が投資しているヘッジファンドは過去8年間1度も下落したことはなく年率10%以上のリターンを叩き出しています。
以下筆者の観点からおすすめできる投資先ランキングとしてまとめていますのでご覧いただければと思います。