2020年のパンデミック以降、米国の成長株が大きなリターンを出したことで注目が高まりました。
以下は米国の成長株が多く組み入れられているナスダック100指数の推移です。
2023年から生成AIブームで大きく上昇してきましたが、2024年7月から大きく下落を開始しています。
ただ、長期間でみると大きく上昇しておりハイテク銘柄へ投資をしたいという需要に応えるために様々なハイテク関連銘柄を組み入れた投信が組成されました。
その一つが今回、紹介するアライアンスバーンスタイン米国成長株ファンドです。
今回はそんな「アライアンスバーンスタイン米国成長株ファンド」の特徴をお伝えした上で直近の下落の要因と今後の見通しについてお伝えしていきたいと思います。
Contents
アライアンスバーンスタイン米国成長株ファンドの特徴とは?
それでは特徴についてみていきたいと思います。
米国のグロース株に投資!構成上位銘柄は大型ハイテク企業が多い
アライアンスバーンスタイン米国成長株ファンドは名前の通り米国のグロース銘柄に投資をしています。
2024年6月末 | 2024年3月末 | 2024年2月末 | 2024年1月末 | 2023年6月末 | 2023年5月末 | 2023年4月末 | 2023年2月末 | 2022年12月末 | 2022年9月末 | |
1 | マイクロソフト | マイクロソフト | マイクロソフト | マイクロソフト | マイクロソフト | マイクロソフト | マイクロソフト | マイクロソフト | マイクロソフト | マイクロソフト |
2 | エヌビディア | エヌビディア | エヌビディア | エヌビディア | アマゾン・ドット・コム | VISA | ユナイテッドヘルス・グループ | ユナイテッドヘルス | VISA | アルファベット |
3 | アマゾンドットコム | アマゾンドットコム | アマゾンドットコム | アマゾンドットコム | アルファベット | ユナイテッドヘルス・グループ | VISA | VISA | ユナイテッドヘルス | VISA |
4 | アルファベット | メタプラットフォーム | メタプラットフォーム | アルファベット | ユナイテッドヘルス・グループ | アルファベット(Google) | アルファベット(Google) | アルファベット(Google) | アルファベット(Google) | ユナイテッドヘルス |
5 | メタプラットフォーム | アルファベット | VISA | ユナイテッドヘルス | エヌビディア | アマゾン・ドット・コム | アマゾン・ドット・コム | アマゾン・ドット・コム | アマゾン・ドット・コム | クラルコム |
6 | VISA | VISA | ユナイテッドヘルス | VISA | VISA | エヌビディア | バーテックス・ファーマシューティカルズ | ゾエティス | バーテックス | ゾエティス |
7 | コストコ | ユナイテッドヘルス | アルファベット | モンスター・ビバレッジ | モンスター・ビバレッジ | モンスター・ビバレッジ | ゾエティス | バーテックス | ゾエティス | バーテックス |
8 | バーテックス・ファーマシューティカルズ | モンスター・ビバレッジ | モンスター・ビバレッジ | メタプラットフォーム | コストコ・ホールセール | フォーティネット | モンスター・ビバレッジ | モンスタービバレッジ | コストコ | アマゾンドットコム |
9 | ネットフリックス | コストコ・ホールセール | コストコ・ホールセール | バーテックス | インテュイティブ・サージカル | インテュイティブサージカル | コストコ・ホールセール | コストコ | モンスタービバレッジ | コストコ |
10 | イーライ・リリー | バーテックス・ファーマシューティカルズ | バーテックス・ファーマシューティカルズ | コストコ | バーテックス | バーテックス・ファーマシューティカルズ | エヌビディア | フォーティネット | ホームデポ | モンスター・ビバレッジ |
マイクロソフトやアルファベット(=Google)、VISA、アマゾンなどの大型ハイテク企業をふんだんに組み入れていますね。
これらの銘柄が多く含まれるナスダック100指数の値動きは以下となります。
これだけで、大方アライアンスバーンスタインの基準価額の動きが想定できますね。
なぜ、このようなジェットコースターのような動きになっているのか、今後の値動きはどうなるのかという点については追って見通しの項目でお伝えします。
「A」「B」「C」「D」の4つのコースの違いとは?予想分配金提示型とは?
今回主に取り上げるのはDコースですが、アライアンスバーンスタインには4つのコースがあります。
Aコース | 為替ヘッジあり |
Bコース | 為替ヘッジなし |
Cコース | 為替ヘッジあり 毎月決算型 予想分配金提示型 |
Dコース | 為替ヘッジなし 毎月決算型 予想分配金提示型 |
為替ヘッジなしの場合はドル円が上昇すると基準価額は上昇し、ドル円が下落すると基準価額は減少します。
2024年6月までのようにドル円が160円まで上昇する局面ではヘッジ無しが威力を発揮します。
ただ、来年米国の景気が沈没して米国金利が低下する局面ではドル円は下落するのでヘッジありの「A」と「C」の方が有利になると考えています。
実際、2024年7月のドル円の下落で為替ヘッジがないBコースとDコースは大きく被弾しています。
「C」コースと「D」コースは毎月決算を行い分配金をだすかださないかを決めています。
分配金の基準は以下となっています。
前月末の前営業日の基準価額 | 分配金 |
11,000円未満 | 基準価額の水準等を勘案して決定 |
11,000円以上-12,000円未満 | 200円 |
12,000円以上-13,000円未満 | 300円 |
13,000円以上-14,000円未満 | 400円 |
14,000円以上 | 500円 |
このように分配金の基準をあらかじめ提示しているので予想分配金提示型としています。
直近2022年5月からの分配金の推移は以下となります。
年月 | 分配金 |
2022年5月 | 0 |
2022年6月 | 0 |
2022年7月 | 100 |
2022年8月 | 200 |
2022年9月 | 100 |
正直言って長期的な資産形成を考えた時に分配金をだすことは非合理的です。
分配金をだした瞬間に20%の税金がとられるので、再投資するとしても元本が減少してしまうからです。
目先の小さな現金より長期的なリターンを選ぶ方が合理的な選択肢といえます。
まとめると2024年からは最も合理的なのはドル円下落をヘッジできて分配金を出さないAコースということになります。
手数料体系(購入手数料・信託手数料)
外国株に投資しているということで若干高めの設定となっています。
購入手数料:税込3.3%
信託手数料:税込年率1.727%
アライアンスバーンスタイン米国成長株ファンド(Aコース/Dコース)の運用実績
それでは肝心の運用実績に移っていきたいと思います。
今回題名にもあげたDコースとさきほど一番合理的と説明したAコースでみていきます。
この灰色が分配金を出さなかった場合の基準価額です。
しかし、実際には分配金をだした瞬間に税金を差し引かれるので青色は実現しえません。灰色と青色の真ん中の成績となります。
上記を見ていただければわかる通り直近下落に転じています、既に今から投資するなら出遅れています。この点については後でお伝えします。
データとしてみたリターンは以下となります。下落を開始した2024年7月からの成績はまだ反映されていません。
1-3月期 | 4-6月期 | 7-9月期 | 10-12月期 | |
---|---|---|---|---|
2024年 | 11.60% | 4.32% | - | - |
2023年 | 7.28% | 8.71% | -3.90% | 11.75% |
2022年 | -12.09% | -19.53% | -5.86% | 2.21% |
2021年 | 0.30% | 14.85% | 0.01% | 11.68% |
2020年 | -9.66% | 21.48% | 9.06% | 10.09% |
2019年 | 14.45% | 3.32% | -0.12% | 10.47% |
2018年 | 0.61% | 5.42% | 6.32% | -13.28% |
2022年のトータルリターンは結局-31.93%となりました。本当にインデックス投資とはボラティリティが高いものですね。
AコースとS&P500指数とナスダック総合指数を比較したものが以下となります。
青:アライアンスバーンスタイン米国成長株ファンド
赤:ナスダック
緑:S&P500指数
S&P500指数とハイテク銘柄が多く組み入れられているナスダック双方を下回っていますね・・・。
高い手数料を払ってアライアンスバーンスタインに払う理由が見つかりません。もっと良い先はいくらでもあるかと思います。
アライアンスバーンスタイン米国成長株投信はなぜ人気なのか?
アライアンスバーンスタイン米国成長株投信Dコースはアクティブ投信の中では買い付けランキングで2位になっています。
1位の楽天日本株4.3倍ブルは特殊なレバレッジ型投信であることを加味すると実質1位ですね。
Dコースが人気という点がポイントですね。Dコースは毎月決算型です。
年合計 |
1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 | |
2024年 | 500円 2月迄 |
200 (01/15) |
300 (02/15) |
300 (03/15) |
400 (04/15) |
300 (05/15) |
400 (06/17) |
400 (07/16) |
-- -- |
-- -- |
-- -- |
-- -- |
-- -- |
2023年 | 1,600円 | 0 (01/16) |
0 (02/15) |
0 (03/15) |
100 (04/17) |
100 (05/15) |
200 (06/15) |
200 (07/18) |
200 (08/15) |
200 (09/15) |
200 (10/16) |
200 (11/15) |
200 (12/15) |
2022年 | 1,100円 | 200 (01/17) |
100 (02/15) |
0 (03/15) |
200 (04/15) |
0 (05/16) |
0 (06/15) |
100 (07/15) |
200 (08/15) |
100 (09/15) |
100 (10/17) |
100 (11/15) |
0 (12/15) |
2021年 | 3,300円 | 200 (01/15) |
300 (02/15) |
200 (03/15) |
300 (04/15) |
200 (05/17) |
300 (06/15) |
300 (07/15) |
300 (08/16) |
300 (09/15) |
300 (10/15) |
300 (11/15) |
300 (12/15) |
2020年 | 2,000円 | 200 (01/15) |
200 (02/17) |
0 (03/16) |
0 (04/15) |
100 (05/15) |
200 (06/15) |
200 (07/15) |
300 (08/17) |
200 (09/15) |
200 (10/15) |
200 (11/16) |
200 (12/15) |
分配り利回りは高い時で30%、一番低い2022年でも10%程度を出し続けています。
通常、このような高い分配利回りの投信の場合は基本は基準価額が下落して元本を毀損しますが、アライアンスバーンスタイン米国成長株投信Dコースは元本割れしていません。
そのため、元本を減らさずに高い分配金を得られているというのが評判を呼び人気を集めているということがわかります。
しかし、これはあくまで米国株がこの数年バブル相場であったことに加えて、円安が進んだという2つの要因によって偶然実現できたにすぎません。
逆にいうと米国株が下落に転じて、ドル円が下落するような局面では分配金を出すこともできませんし基準価額も下落します。
あくまで、たまたま実現できた分配利回りにすぎないのです。
アライアンスバーンスタイン米国成長株ファンドの今後の見通し
重要なのは今後の見通しですが、先ほど見てきた通りS&P500指数とナスダックの間の成績なので米国株市場の見通しを読むことと同義となります。
見通しについては当記事を定期的に更新してお伝えしていっていますが、金融環境は刻一刻と変化していくものです。
以下は1985年からのS&P500指数の推移ですが超長期で平均して年率7%のリターンをだしていますが、約10年毎に停滞期と上昇期がくっきりと分かれています。
そして、残念なことに2022年から米国株はしばらく厳しい展開となることが想定しておりました。
昨年、2023年はAIをテーマに巨大テックに資金流入がありましたが2024年7月に以下の2つの要因で大きく下落していきました。
下落理由①:米国の景気後退懸念が高まった
2022年から2年以上続いた高インフレと高金利で遂に米国経済が悲鳴を上げ始めました。
雇用統計で失業率が急激に上昇し始めました。
失業率は上昇するときは一気に急騰します。景気後退となると企業収益が低下して株価には下落圧力となっていきます。
本格的な景気後退は今後発生するので、ここからは厳しい状況が続いていきます。
下落理由②:日本銀行が利上げを行い円キャリートレードが解消されている
実は最近の株高を支えていた一つの要因として低金利で資金を供給していた日本の存在が挙げられます。
米国では金利が高いので資金調達するのに高い金利を支払う必要があります。しかし、日本はほぼ金利がない状態なので低い金利で日本円を調達できます。
調達した円をドルに変換して、米国株等に投資する円キャリートレードがずっと拡大していきました。
しかし、円キャリートレードは為替リスクを負います。円安が進んでいく過程では為替差益も享受できます。
一方、円高に振れていくと為替差損が発生するのでポジションを解消する動きが盛んになります。
そして、パラダイムシフトが2024年7月に日銀が断続的に利上げをする姿勢を示したことで発生しました。
米国の景気に暗雲が垂れ込めている局面で、日銀が利上げを行い日米金利差が縮小してドル円が下落していきました。つまり円高になったのです。
こうなってくると、円キャリートレードを解消する流れが発生して、株を売り、できたドルを円に変換して返済するという流れが発生します。
元々、円高になっていたところに円高の流れが加速し、株式も下落していきました。
この2つの流れは今後も継続していきます。つまり、今後もアライアンスバーンスタイン米国成長株投信は厳しい見通しとなります。
特に為替ヘッジをつけないBコースとDコースは円高の逆風にも晒されることになります。
相場環境に依拠せず高いリターンを安定して出す選択肢とは?
せっかくアクティブファンドに投資をするのであれば、安定してインデックスより高いリターンをだすファンドに投資をしたいのではないでしょうか?
更に長期投資を行うことを考えるとリーマンショックやコロナショックのような暴落をできる限り回避したいですよね。
特に現在は2022年の暴落からの反発局面でファンダメンタル的には、またいつ暴落が発生してもおかしくない環境が整ってきています。(後述)
つまり、インデックスより高いリターンを安全性高く期待できる選択肢こそが理想の投資先ということになります。
このような投資先として筆者が注目して実際に投資しているのがヘッジファンドです。
ヘッジファンドは市場環境に依拠することなく安定したリターンをだすことを至上命題としており、以下の通り理想的な値動きとなっています。
リーマンショックですら10%以内の下落に抑えているのは非常に魅力的ですよね。
以下で筆者も投資している上記のような値動きを実現しているヘッジファンドを中心としてまとめてお伝えしているのでご覧いただければと思います。
掲示板での口コミや評判
それでは掲示板での口コミについて紹介したいと思います。
Yahoo finance①
ポンタさんと同じ期待ですが、現実的には厳しい状況だと思います。来月のFDRの利上げは間違いないでしょう。「金利が上がれば株価は下がる」のが金融の常識ですから、株価(それに関連する投信の基準価額も)はおそらく下がります。
悲観する必要はまったくありません。基準価額が下がるのですから、分配金はなくても、口数を増やす好機と言えます。
私の場合は取得価格が基準価額とほぼ同じ水準ですので、今のところ買い増しは見送ります。
Yahoo finance②
決算日にいつも特別分配金について議論になりますが、毎度同じ討論会になり見ていてつまらない。
特別分配金でやいやい悩むならこのファンドには向いてないので他に行くべきかといつも思います。
Yahoo finance③
去年の今頃までは、ここはひたすら負け知らず。最強の投信だったね。
今じゃ最低のパフォーマンスだが。
Yahoo finance④
N村から電話で月曜日に買い増しを勧められました。ここ勧めら購入してから、既に18%のマイナスなんですが・・・。買い増ししましたが大丈夫かなぁ~
まとめ
アライアンスバーンスタイン米国成長株ファンドは米国の成長株に投資する投資信託です。以下の4つが存在します。
Aコース | 為替ヘッジあり |
Bコース | 為替ヘッジなし |
Cコース | 為替ヘッジあり 毎月決算型 予想分配金提示型 |
Dコース | 為替ヘッジなし 毎月決算型 予想分配金提示型 |
現在の情勢を考えると為替ヘッジありで分配金をださない「Aコース」が合理的になります。
しかし、米国株はしばらく厳しい環境であるため、これから投資する方は我慢の時を迎えることになります。